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今、和田秀樹氏の”受験は要領”という本を読んでいます。 サブタイトルが〜たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ〜 という、中々に刺激的なもの。
こういった書籍のタイトルというものは、一見”え?”と思わせるような、目を引くものが良い、ということは以前本を出したときに言われました。 その代表は”さおだけやは〜”でしょう。
この本も、タイトルこそ衝撃的ですが、中身はいたって・・・・ と書こうとおもってたんですが、中身もけっこうなものでした^^; 簡単に紹介しますと、
筆者の和田秀樹先生は精神科の医師でありながら受験アドバイザー、評論家としても著名で、成城学園の理事や予備校の監修などもされています。出身はあの灘中、高。ご本人いわく”運良く中学受験で受かったものの、高2までは劣等生。”しかし”ある事実”に気付いてから成績が急上昇し、東京大学理科3類(要するに医学部です)に現役合格を果たします。以後家庭教師や弟さんの受験指導(東大文1現役合格、司法試験合格)を経て自ら発見した学習法を世間に広くアピールするようになった、とのことです。
その、ご自身の成績を急上昇させるにいたった考え方、というのが ”受験は暗記。独創性やひらめきなど無用” というもの。ここでまず各方面からツッコミが入りそうですが ”頑張って問題を解いているなんて時間の無駄。2時間かけて一問解くぐらいなら同じ時間で10問解き方を暗記したほうが良い” と、本文もこんな感じですすみます。そして ”努力が大切とか、ひらめきが大切とか思考力が必要などというのは教師や世間、予備校が作った幻想に過ぎない” と過激な言辞が展開されていきます。
ですから、表層だけ、字面だけを読んでいくと極端な暴論、と誤解されそうな内容です。
しかし、内容をじっくり読んでみると、それはある意味受験を経た人からみれば、”ああ、なるほど”と思えるもの。ある意味、 ”受験を経験した人間が、肌感覚でわかっているが言葉にし難い内容を、歯に衣着せずに言語化してしまった” という感じです。
まず誤解されやすい、”丸暗記でいい、解かずに解答を読め” ですが、これは決して”思考力が不要”という意味ではありません。 和田先生の考え方ですと、要するに ”暗記するぐらい読み込んだ時点で、理解できているはず” ということになります。本人は丸暗記しているつもりでも、二回、三回とくり返しているうちに自然と理解してしまっている、という意味ですね。
確かに、受験レベルでの数学というものは、独力で思いつくのは不可能に近い理論展開が多数あります。ある程度問題の演習経験を積まないと体得しがたいものが多いのですが、そこを ”解こうとしても無理だから暗記してしまえ”ということになります。
ご本人は”自分は決してIQは高くない”とおっしゃっていますが、”運良く”中学受験で灘に受かっていたり、暗記が理解に直結しているあたり、決して思考力や発想力が無い方ではないでしょう。 むしろ、”そんなものは意識しなくても量をこなせばついてくる” という発想に思えます。
ですから、この先生の方式を実行する場合、決して ”数学は解答見て写せばいい”という意味には捉えないでください。 本文を読まれると解りますが、この本が唱える”暗記”は 生半可なレベルではありません。解き方の手順、論理展開、結論への導き方が丸暗記レベルで身についている状態を是とし それを、記憶が衰えるタイミングを計って何度も復習しなさい、というもの。 ある意味”頑張って解いて解きっぱなし”よりも苦しい作業になると思います。ですから ”こっちのほうが楽”という発想で取り入れると痛い目をみるでしょう。
そしてもう一つが、 ”あくまでも受験テクニックであって、基礎は別物” という点です。和田先生の持論は、あくまでも基礎的な計算力等が身に付いていることが前提です。学習法でも前半に”基礎的計算の時間”が取られています。ですから、受験時以外の平常学習にこの思想を取り入れるのはちょっとキケンかもしれません。 非常に言い難いですが、和田先生方式の場合、ある程度のレベルまでは”解ってて当たり前でしょう”的な発想が見えます。やっぱり灘の人ですね^^; ですから、基礎計算の段階では、最初のうちは暗記したとしても、ある程度実践も必要だと思います。
平常学習から取り入れるとしたら、タイプ的には、思考の瞬発力はあるがじっくり考えることが苦手な子、数学に苦手意識が染み付いてしまっている子などには向いていると思います。 その場合、”基礎計算は別物”という点を徹底しましょう。また、納得しないと先に進めないタイプの子にはあまりお勧めできません。本のタイトルどおり、ある程度、というかかなり”要領”が要求される勉強法だからです。
また、和田先生ご自身が”定期試験などは直前は一夜漬けでよい。そして、見直しを必ず徹底すること。模擬試験も同様”といわれています。 ”試験というものは要点が凝縮されているので、暗記対象としては最適”というのも和田先生の考え方です。
受験対策として、と考えると、難関大学を目指す子の場合は、正直 ”かなり有効である”と言わざるをえません。 子供のモチベーションがしっかりあること、計画を綿密に立ててそれを実行できること、が必須条件ですが、ここまで見切りをつけられたら、確かに受験勉強のペースは上がると思います。
実際、我々もチャート式タイプの”数学参考書"は ”解くのではなく、読み物として有効” と教えますし、問題集は ”解答が出来るだけ丁寧なものを選ぶように” 指導します。その上で量をこなさせるために様々に工夫をこらすわけですが、きっぱり”覚えてしまえ”とは中々言えないものです^^;
ここまで極端な志向は無理でも、 ”10分考えて解らない問題は解答を見て理解しろ” ぐらいは言いますし、 ”問題を見たら解かないで、解法の手順だけ想像、そして解答で確認” という手法も同じような発想になります。
けっこうなベストセラーですので、お持ちのご家庭も多いかと思いますが、サブタイトルの先入観で誤解されないよう、もう一度読み直してみられてはいかがでしょうか。 |
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